猫カフェの内装、工事費は250万〜300万円|「造作にする所」と「既製品で済ます所」の線引きを職人が解説

猫カフェを開きたい、あるいは今のお店をつくり直したい。そう考えて内装工事を調べはじめると、出てくるのは「おしゃれなキャットウォークの実例集」ばかりで、結局いくらかかって、何から決めればいいのかが見えてこない——そんな方は多いのではないでしょうか。
株式会社TEAM-R(大阪府堺市のリフォーム・リノベーション会社)では、大阪市東淀川区と高槻市で猫カフェの内装工事を手がけました。この記事では、その2件の実際の金額と工期をもとに、猫カフェの内装で決めるべきことを、造作工事を得意とする職人の視点で順番に解説します。
- 0.1.1. この記事の結論|先に要点
- 1. 1. 猫カフェの内装工事、費用はいくらかかる?
- 2. 2. 工期はどのくらい? 費用の内訳でいちばん大きいのは?
- 2.1.1. こちらの記事もおすすめ
- 3. 3. 猫カフェの内装は、どこから決めればいい?
- 4. 4. 猫の設備は、どこまで造作すべき?
- 4.1. 猫の通り抜け口は、どのくらいの大きさにする?
- 5. 5. キャットウォークの取り付けで、職人が見ているのは「下地」
- 6. 6. 床・壁・においは、どう考える?
- 6.1. 床はフロアタイルがおすすめ
- 6.2. 壁は「腰から下」を木で押さえる
- 6.3. においと掃除のために、内装側でできること
- 7. 7. 猫が生活する空間の工事は、普通の現場と何が違う?
- 8. 8. どこまで対応できるのか、正直なところ
- 9. よくあるご質問
- 10. まとめ
- 10.1.1. おすすめ記事
- 10.1.1.1. 著者・監修プロフィール
1. 猫カフェの内装工事、費用はいくらかかる?

TEAM-Rが手がけた2件は、約250万円と約300万円でした。
| 大阪市東淀川区 | 大阪府高槻市 | |
|---|---|---|
| 業態 | 店舗(猫カフェ) | 店舗(猫カフェ) |
| 費用 | 約250万円 | 約300万円 |
| 工期 | 約2週間 | 約1ヶ月 |
| 完了 | 2024年2月 | 2024年4月 |
| 主な工事 | ベンチ造作/建具入れ替え/床/間仕切り壁/電気工事/内装リフォーム | 内装リフォーム/造作(ベンチ・テレビ台)/キャットウォーク取付/建具入れ替え/間取り変更 |
この金額を読むときに、頭に入れておいていただきたい前提があります。TEAM-Rでは、事例の金額を記事に載せるときは案件の性質を必ず書くことにしています。前提を伏せたまま数字だけを並べると、読んだ方が予算を読み違えてしまうからです。
前提①:2件とも、デザインチーム(ism様)からのご依頼です。 つまりデザイン・設計は別のチームが担当し、TEAM-Rは工事を担当しました。上の金額はTEAM-Rの工事分のみで、設計・デザイン費は含まれていません。ご自身で一から開業される場合は、これに設計側の費用が別途かかると考えてください。
前提②:床工事など一部は含まれていません。 大阪市東淀川区の方は床工事なしで既存の床のまま利用するという感じでした。高槻市の方は別業者さんが床をフロアタイルに施工されていました。また、2件の事例ではキャットウォーク自体の制作は行っておらず、取付を行いました。
前提③:どちらも既存の内装がある状態からのリフォームです。 スケルトン(がらんどう)から始める工事ではありません。スケルトンからつくる場合の考え方は、堺市で店舗・カフェを開業する内装ガイドで、居抜きとの違いも含めて詳しく書いています。
2. 工期はどのくらい? 費用の内訳でいちばん大きいのは?

工期を分けたのは「間取りを触ったかどうか」です。
高槻市が約1ヶ月かかったのは、間取りの変更と建具の入れ替えが入り、造作の点数(ベンチ・テレビ台)も多かったからです。一方、東淀川区は間仕切り壁と造作ベンチが中心で、解体・造作の範囲が限定的だったため、約2週間で完工しています。
工期を短くしたいなら、既存の間取りをできるだけ活かすのがいちばん効きます。
猫カフェは、飲食店のように厨房設備が重くありません。そのぶん住設機器の比率が下がり、造作や内装が費用の主役になるのが特徴です。言い換えれば、造作のつくり方しだいで総額が動くということでもあります。
造作がなぜ既製品と同じくらいの金額で成立するのかは、造作洗面は16.5万円、造作キッチンは65万円|"既製品と同じ金額"でできるカラクリで、材料の内訳まで公開しています。
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物件が居抜きかスケルトンかで、工事の中身と費用は変わります。物件選びの段階で見ておきたいポイントは、こちらの記事にまとめています。
3. 猫カフェの内装は、どこから決めればいい?

猫の回遊動線を先に決めます。人の動線はそのあとです。
普通の店舗なら、お客様とスタッフの動線から決めていきます。猫カフェはここが逆になります。
キャットウォークを天井・壁のどこに通すか、ベンチや棚をどうつなげて猫が降りてこられるようにするか——猫が立体的に回遊できるルートを先に押さえてから、人の動線と什器の配置を決めていきます。
順番が逆になると、什器を置いた場所とキャットウォークの位置が噛み合わず、「猫が降りてくる場所にお客様の席がある」といったことが起きます。猫カフェの内装が普通の店舗と違うのは、まずこの点です。
なお、店舗内装でつまずきが多いのは動線だ、というのはTEAM-Rが一貫して言っていることで、リノベで後悔するのは"やり直せない4つ"だけでも触れています。猫カフェの場合、その動線が2系統あると考えてください。
4. 猫の設備は、どこまで造作すべき?

什器と一体でないと成立しないものだけを造作します。単体で完結するものは既製品です。
ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。
TEAM-Rは造作を強みにしている会社ですが、猫カフェだからといって猫まわりを全部造作するわけではありません。 実際の2件でも、造作したものと既製品を買ったものがはっきり分かれています。
| 実際にどうしたか | なぜそうするか | |
|---|---|---|
| 造作ベンチ(下が猫トイレ) | 造作 | 座面の下という「什器の内側」に猫の機能を入れるため、一体でつくるしかない |
| 造作ベンチ(アーチ型トンネル+収納) | 造作 | 猫の通り道と店の収納を一台に重ねるため |
| キャットウォーク | 造作 | 壁・天井の下地に合わせて通すため、現場合わせが前提 |
| 腰壁の足元の通り抜け口 | 造作 | 壁そのものを加工する工事 |
| テレビ台 | 造作 | 什器のデザインを空間と統一するため |
| 爪とぎポール | 既製品 | 単体で完結し、消耗品として交換する前提のもの |
| キャットシェルフ(三日月・星の飾り棚) | 既製品 | 壁に留めるだけで成立し、既製品で十分に世界観が出せる |
※事例のキャットウォークはTEAM-Rで制作したものではないです(取付はTEAM-R)
東淀川区の事例で写真に写っている白い爪とぎポールと、三日月・星の形をした木製シェルフは既製品です。

判断の軸はシンプルで、「什器の内側に機能を仕込む必要があるかどうか」です。
猫トイレは、既製品を買ってきて床に置けば、それは「置かれた猫トイレ」にしかなりません。ベンチの座面下に納めて正面に丸い出入り口を開ければ、外からは店のベンチにしか見えない。これは造作でしか成立しません。
反対に、爪とぎポールは単体で完結する道具です。ここを造作すると、手間のわりに見た目も使い勝手も既製品と大差がなく、費用だけが上がります。
TEAM-Rでは、リノベーションでも「お風呂は造作するとコスパが悪すぎるので既製品一択」とはっきり線を引いています。猫カフェでも考え方は同じです。造作を売りにしている会社が造作を減らす提案をするのは妙に聞こえるかもしれませんが、ここを曖昧にすると予算が意味のないところに流れます。
猫の通り抜け口は、どのくらいの大きさにする?
直径・幅ともに20cm前後が目安です。ただしこれは出発点で、実際にそのお店にいる猫の大きさを聞いてから決めます。
小さすぎれば猫が通りません。大きすぎれば、今度は造作の見た目が崩れます。既製品を買ってくるのではなく現場でつくる以上、そのお店の猫に合わせられるのが造作の利点です。
なお、東淀川区の「ベンチ下の猫トイレ」も、高槻市の「アーチ型トンネル」「腰壁足元の通り抜け口」も、オーナー様・ism様と一緒に考えたアイデアです。TEAM-Rが一方的に提案したものでも、先方から指示されたものでもありません。
5. キャットウォークの取り付けで、職人が見ているのは「下地」

石膏ボードだけの壁には付けられません。
キャットウォークは猫が乗る棚板です。壁の下地(間柱)の位置を拾って留めるか、下地そのものを入れ直してから取り付けます。
そして見落とされがちなのが、猫の体重は軽くても、飛び乗る瞬間には衝撃荷重がかかるということです。静かに乗るのではなく、勢いをつけて着地します。見た目の華奢さと必要な強度は、別に考えなければいけません。
既製のキャットウォークを買って壁に留めるだけ、という方法もあります。ただしその場合も、留める先に下地があるかどうかは同じように問題になります。 DIYでの取り付けを考えている方は、ここだけは確認してください。
6. 床・壁・においは、どう考える?

床はフロアタイルがおすすめ
理由は2つ。粗相や水濡れに強いことと、傷んだ部分だけを部分交換できることです。
クッションフロア(CF)も水には強いのですが、爪で引っかかれるとめくれやすいという弱点があります。猫がいる空間では、ここが効いてきます。
そして無垢材は店舗ではあまり選びません。 においを吸って抜けなくなる可能性があるためです。TEAM-Rの代表・潮は「自分の家に張るなら無垢材」と公言していますが、猫カフェではすすめません。床材ごとの性格の違いは、6畳で4.5万〜10万円。フローリングの選び方にまとめています。
壁は「腰から下」を木で押さえる
猫の手が届く高さを、板張りや木格子にしておくと持ちが違います。 壁紙のままだと爪で剥がれます。上部は通常のクロスで問題ありません。
においと掃除のために、内装側でできること
水拭きできる素材で統一することと、掃除のときに手が入らない隙間をつくらないこと。この2つです。
造作は現場で寸法を合わせてつくるので、既製の家具を並べたときにできる「壁とのわずかな隙間」が生まれません。結果として掃除がラクになり、においも溜まりにくくなります。 これは見た目の話ではなく、毎日の運営に効く部分です。
換気設備そのものは設備業者の領域ですが、内装側でできるのはこの2点だと考えています。
7. 猫が生活する空間の工事は、普通の現場と何が違う?

常識が180度変わります。
先にお断りしておくと、今回の2件は、工事期間中は休業し、猫たちは別の場所へ移してもらっています。 猫がいる状態のまま工事を進めた事例ではありません。
そのうえで、猫が生活する空間の工事でTEAM-Rが守っていることをお伝えします。
| 普通の現場 | 猫が生活する空間 |
|---|---|
| 資材搬入中はドアを開けたままにする | ドアの開けっ放しは厳禁(脱走防止) |
| 養生はビニールシートで手早く | ヒラヒラするビニールは避け、硬いプラダン等を使う(猫が遊んで誤飲するため) |
| エア工具で効率よく進める | エア工具を控え、静音工具を優先(突然の爆音でパニックを起こさせない) |
| 清掃は一日の終わりに | 1作業ごとに清掃(床に落ちたビス1本が命に関わるため) |
業者を選ぶときは、このあたりを聞いてみると反応で分かります。 「猫がいるので気をつけます」で終わる会社と、養生材の種類や工具の話まで出てくる会社とでは、現場の進み方が変わります。
8. どこまで対応できるのか、正直なところ

読んでいただいた方が判断を誤らないよう、TEAM-Rの現状を正直に書いておきます。
動物取扱業の登録・飼養施設の基準について。 猫カフェの開業には第一種動物取扱業の登録が必要で、ケージの大きさなどに基準があります。ただし今回の2件では、この部分は施主様・設計側が対応され、TEAM-Rは工事を担当しました。 登録基準を確認しながら内装を設計した経験はありませんので、基準まわりは管轄の窓口か、設計側にご確認ください。
猫カフェ以外の動物系店舗について。 トリミングサロン、ペットホテル、ペットショップ、保護猫カフェ、動物病院——いずれも工事としては対応可能です。
エリアについて。 今回ご紹介した2件は大阪市東淀川区と高槻市です。対応エリアは堺市全域・大阪市全域のほか、松原市・和泉市・泉大津市・高石市・羽曳野市・大阪狭山市・富田林市・河内長野市です。
そのうえで、造作を軸にした店舗内装はTEAM-Rの本領です。猫カフェという業態そのものより、「什器に機能を仕込む」造作の考え方のほうが、実は移植しやすいと考えています。
よくあるご質問
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猫カフェの内装工事は、いくらくらいかかりますか?
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TEAM-Rの実例では、大阪市東淀川区で約250万円(工期約2週間)、高槻市で約300万円(工期約1ヶ月)でした。いずれも既存の内装があるところからのリフォームで、設計・デザイン費を含まない工事分のみの金額です。
-
工期を短くするにはどうすればいいですか?
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既存の間取りをできるだけ活かすことです。2件の工期が倍ほど違ったのは、間取りの変更と建具の入れ替えが入ったかどうかが大きな理由でした。
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猫の設備は、全部造作したほうがいいですか?
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いいえ。什器と一体でないと成立しないもの(ベンチ下の猫トイレ、通り抜け口、キャットウォークなど)は造作、単体で完結するもの(爪とぎポール、壁付けのシェルフ)は既製品、と分けたほうが費用もデザインも収まります。
-
猫カフェの床は何がいいですか?
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フロアタイルを選ぶことが多いです。粗相や水濡れに強く、傷んだ部分だけを部分交換できるためです。クッションフロアは爪でめくれやすく、無垢材はにおいを吸う可能性があるため店舗では選びません。
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営業しながら工事はできますか?
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今回ご紹介した2件は、いずれも休業したうえで猫を別の場所へ移していただいた前提の工事です。現場の条件によって判断が変わるため、まずはご相談ください。
まとめ
猫カフェの内装は、猫の回遊動線を先に決め、什器に仕込む必要があるものだけを造作する。この2つを押さえると、限られた予算でも「普通じゃない」お店になります。
- 工事費の実例は約250万円/約2週間と約300万円/約1ヶ月(設計費別・既存内装からのリフォーム)
- 費用の主役は造作工事。間取りを触ると工期が伸びる
- 猫の動線が先、人の動線が後
- 造作と既製品を線引きする。全部造作は費用の無駄になる
- 床はフロアタイル、壁は腰から下を木で押さえる
- 猫が生活する空間の工事は、養生材も工具も清掃のタイミングも変わる
株式会社TEAM-R(大阪府堺市)は、造作工事を軸に店舗・住宅のリノベーションを手がけています。堺市西区にある自社ショールームも、実際に自分たちで施工した店舗です。「普通の内装では物足りない」という方は、ショールームの解体記事もあわせてご覧ください。
店舗の内装全般については、堺市で店舗・カフェを開業する内装ガイドにまとめています。
ご相談・お見積りはお問い合わせフォームから承ります。
著者・監修プロフィール
潮 亮輔(うしお りょうすけ)/株式会社TEAM-R 代表取締役
2011年に内装業界へ入り、フローリング職人として新築・リフォーム現場で約13年携わる。2018年に個人事業主として独立し、2023年7月に株式会社TEAM-Rを設立。内装工事を得意とし、店舗・マンション・戸建てのリノベーションを数多く手がける。「個性を大切に」を信条に、お客様との対話を何より大切にする職人肌の代表。
