リノベで後悔するのは"やり直せない4つ"だけ|職人が現場で見てきた本音

リノベーションコラムのメインサムネイル画像:リノベで後悔するポイントを現場で見てきた職人が本音で解説

「リノベーションで失敗したくない」——そう思って検索すると、チェックリストのような記事がたくさん出てきます。ただ、実際に現場で工事をしていると、後悔する場所は決まっていると感じます。

壁紙の色を少し間違えても、あとから貼り替えられます。でも、床の下や壁の中、そして毎日使う設備は、そう簡単には戻せません。

この記事では、株式会社TEAM-R(大阪府堺市のリフォーム・リノベーション会社)の代表・潮が、フローリング職人として約10年、現場に立ってきた経験から「あとから取り返しがつかなくなる場所」を4つに整理してお伝えします。

この記事の結論|先に要点

  • リノベの後悔は、「やり直せないもの」に集中する。壁紙・床材・照明は後から変えられるので、実は後悔になりにくい。
  • 取り返しがつかないのは、①物件そのものが持つ条件/②住んでみないと分からない体感/③交換に工事がともなう設備/④時間が経ってから出てくる素材の差の4つ。
  • 中古マンションのフルリノベで最も多い後悔は「設備のグレード・オプションの選択」。打ち合わせ期間を急がないことが最大の対策。
  • 予算オーバーしたら、壁紙・床材・照明のグレードを下げる。水まわり設備のグレードは下げないほうがいい
  • 店舗の場合は、動線海外製設備の施主支給が代表的なつまずきどころ。

1. リノベの後悔は、なぜ「やり直せないもの」に集中するのか?

やり直しが難しいキッチンのリフォーム:明石市のマンションリノベーション事例画像

リノベーションには「あとから変えられるもの」と「変えられないもの」が、はっきり分かれているからです。

たとえば壁紙の色。貼ってみたら思っていたより暗かった、ということはあります。でも貼り替えは、リノベ全体から見れば軽い工事です。床材も同じで、6畳あたりの張り替えはクッションフロア(CF)で約4.5万円、シートフローリングで約8万円ほど(材工/既存床のめくり費用は別途)。「気に入らなければ、いつか変えればいい」が成立する範囲です。

一方で、次のようなものは事情が違います。

後から変えやすい後から変えにくい
壁紙・クロス物件そのものの構造(躯体壁・PSの位置・天井高)
床の仕上げ材直床/二重床という床の構造
照明器具ユニットバス・キッチンなど住設機器
家具・インテリア電気配線・給排水の位置

後悔は、この右側の列で起きます。契約前と打ち合わせ中のエネルギーも、右側に偏らせるべきだと考えています。以下、その右側を4つに分けて見ていきます。

2. 後悔①:物件そのものが持っている条件は、工事では変えられない

マンションリノベーションでスケルトン状態に解体した実際のTEAM-R現場画像

フルリノベであっても、物件が最初から持っている条件は変えられません。ここを知らずに買うと、工事では解決できない不満が残ります。

代表的なものを挙げます。

2000年前後より古いマンションは、床の遮音等級について規定がない場合があります。この場合、自分の住戸をどれだけ防音仕様にしても、上下左右の住戸が同じとは限りません。周囲から入ってくる音は、自分の工事では防げない——これはリノベの限界として、正直にお伝えしています。

躯体面は湿気がたまりやすい場所です。基本的にはスタイロフォーム(断熱材)を入れて対応しますが、症状がひどい場合は、断熱材を入れても防ぎきれないことがあります。

躯体面と住戸の外周は抜けません。住戸内部の壁はだいたい抜けますが、古いマンションは内部にも躯体壁があることがあるので、図面や不動産会社への確認が必要です。

PS(パイプスペース)の位置で、水まわりをどこまで動かせるかがおおむね決まります。スケルトンにしない場合、お風呂は現状のサイズが入るかどうかが前提になります。

これらは「工事のグレード」の話ではなく、「その物件を選ぶかどうか」の話です。詳しくは中古マンションの内見でプロが必ず見る10のポイントにまとめています。

3. 後悔②:住んでみないと分からない「体感」は、内見で確かめるしかない

二重床の支持脚と新しく引き直された給排水管・配線|中古マンションのフルリノベーション

図面や写真では絶対に分からないのが体感です。ここは実際に歩く以外、確認する方法がありません。

もっとも分かりやすいのが、直床のマンションで感じる床のフワフワ感です。

直床の住戸では、管理規約で定められた遮音等級(L-40〜L-45など)をクリアするため、裏にクッション層のついた「遮音フローリング」を張ることになります。この構造上、歩いたときのフワフワした感触は必ず出ます。

慣れてしまえば気にならない方も多いのですが、戸建てから引っ越してきた方は違和感を持ちやすいと感じます。硬い床の上で暮らしてきた体には、明確に違うものだからです。工事の質の問題ではなく構造上そうなるものなので、内見のときに歩いて確かめておいてほしいポイントです。

もうひとつが天井高。マンションの一般的な天井高は2,400mm前後で、これより高い物件は同じ面積でも明確に広く感じます。

床の構造や遮音等級についてはフローリングの種類と選び方で詳しく解説しています。

4. 後悔③:交換に工事がともなうもの=設備は、いちばん後悔が多い

木目調アクセントパネルを使ったLIXILリノビオの浴室|水まわりリフォーム|TEAM-Rの施工事例:大阪市淀川区のマンションリノベーション

中古マンションのフルリノベで施主さんが最も後悔しやすいのは、設備のグレードやオプションの選択です。

これは実際にお客様から聞く声としても、いちばん多い後悔です。理由ははっきりしていて、キッチン・ユニットバス・洗面・トイレは、毎日使うのに、交換には工事がともなうからです。壁紙のように「気が向いたら変える」ができません。

しかも、フルリノベの費用の内訳で最大の塊になるのが、この住設機器です。金額が大きい分、見積りを圧縮しようとすると真っ先に候補に挙がってしまう。ここが落とし穴になります。

もうひとつ、造作(オーダーメイド)を検討している方に正直にお伝えしていることがあります。

TEAM=Rが施工した造作洗面

お風呂は、造作するとコスパが悪すぎるので既製品一択です。 キッチンや洗面についても、収納力・耐久性・使い勝手では既製品のほうが優位です。「自分の家の寸法にぴったり合わせたい」「普通じゃないものがいい」という明確な理由がなければ、既製品をおすすめしています。

造作を得意としている会社が言うのも妙ですが、これは事実です。造作の弱点として、使っていくうちに音やズレが出てくること、耐久性は既製品に劣ることも隠さずお伝えしています(きちんとメンテナンスすれば長く使えます)。

なお、住宅のキッチン天板は、人造大理石かステンレスを選んでください。 TEAM-Rのショールームには木の天板の造作キッチンがありますが、あれは「見せるため」のもの。実際に毎日料理をする家では、鍋を置いたときの焼け跡がついたり、クリア塗装が剥がれたりしやすいのです。

造作の実際の金額や向き不向きは造作洗面は16.5万円、造作キッチンは65万円で内訳まで公開しています。

5. 後悔④:時間が経ってから出てくる差=素材選びのクセ

床材を並べた画像

素材は、貼った直後ではなく「1年後・3年後」に差が出ます。

床材を例に、時間の経過で起きることを整理します。

床材時間が経つと
無垢材長く使える。傷みも味になる。ただし梅雨には1.5倍ほど膨れることがあり、伸びしろとして隙間を空けて張る必要がある。手垢も付きやすく扱いはシビア
複合フローリングバランス型。現場でも定番
シートフローリングめくれ・日焼けが起きやすい
フロアタイルめくれ・日焼けが起きやすいが、部分的に交換しやすい
クッションフロア(CF)水濡れに強い。ただしリビングに使うのは避けたほうがよい

色にも、住んでから効いてくるクセがあります。黒系の床はキズが目立ちます。犬を飼っている家では、抜けた毛も目立ちます。 茶系のほうが、どちらも目立ちにくい。サンプルの段階では「黒がかっこいい」となりがちなので、生活のイメージと合わせて考えていただきたいところです。

床暖房を検討している場合は、フロアタイルとCFが対応できない点に注意してください(無垢材は材料によります。マンション用には床暖対応のフローリングがあります)。また上張り(重ね張り)では、分譲マンションのリビングにCFを張るのはおすすめしません。 元がフローリングであることが多く、明確なグレードダウンになるためです。

6. 店舗・カフェの後悔は、住宅とどう違う?

TEAM-Rのリノベ店舗。入口を入ったキッチン前スペースの画像

店舗の場合、後悔の中身が住宅とは変わります。代表的なのは「動線」と「設備の施主支給」の2つです。

店舗内装でつまずく方がいちばん多いのが動線です。図面上では成立していても、実際にスタッフが1日そこで働いてみると無駄な移動が発生する——ということが起こります。

飲食店を開業される方に多いのが、Amazonなどで設備機器をご自身で手配されるケースです。ここで問題になるのが海外製の製品で、日本の既製品と規格が合わないことが多く、配管の収まりが悪くなって水漏れなどの不具合が出やすいのです。シンクなどは日本製を選んでいただくと、配管との収まりがよく不具合が出にくくなります。

「安く買えた」つもりが、あとから不具合対応の費用と時間で相殺されてしまう。実害の大きい、店舗ならではの後悔です。

店舗の坪単価は、物販でおおよそ30〜40万円、飲食・美容室で30〜50万円が目安です(入れる設備によって大きく変動します)。これとは別に、装飾類=インテリア雑貨に思ったより費用がかかります。 時計を掛ける、棚を付けるといった細かいものの積み重ねです。最初から予算に見込んでおくと後半で慌てずに済みます。

かけどころの基本は、お客様の目に触れる表層部分と設備機器にかけ、従業員しか見ない部分は抑える——この判断軸です。

店舗開業の流れや費用は堺市で店舗・カフェを開業する内装ガイドにまとめています。

7. 予算オーバーしたとき、どこを削れば後悔しないのか?

TEAM-Rのリノベ店舗の打合せブースの照明や壁紙

削るなら、壁紙・床材・照明のグレードです。水まわり設備のグレードは、下げないほうがいいと考えています。

理由は、これまで見てきたとおりです。壁紙・床材・照明は、後から変えられる。水まわり設備は、交換に工事がともなう。「やり直せるかどうか」で線を引く、というだけの話です。

床材についても、LDKなどメインの部屋にはいい材料を使い、トイレなど小面積の場所は抑えるという配分ができます。同じ「床材を削る」でも、全部を一律に下げる必要はありません。

ただし、これは絶対のルールではありません。その方が何を求めているか次第です。「毎日目に入る壁の質感が何より大事」という方に、壁紙を削れとは言いません。ここは打ち合わせで一緒に決めていく部分です。

なお、追加費用が発生する原因についても触れておきます。解体してみて初めて分かる「隠れた不具合」よりも、打ち合わせ後に増えたご希望のほうが主な原因です。「やっぱりパントリーに棚が欲しい」といった追加や、設備まわりの電気工事などです。現地調査をきちんと行っていれば、基本的には大きなブレは出ません。

中古マンションのフルリノベの総額・内訳・進め方は中古マンションを買ってフルリノベ、総額500万〜800万円で詳しく解説しています。

8. TEAM-Rが、後悔を減らすために大事にしていること

堺市西区にあるTEAM-Rのリノベーションショールーム兼店舗

後悔を減らす方法はシンプルで、「やり直せないもの」を決める時間を、急がないことです。

中古マンションのフルリノベの場合、プラン・仕様の打ち合わせにはおおよそ1ヶ月かけています(相談から引き渡しまでは約3.5〜4ヶ月)。この1ヶ月を短縮すると、いちばん後悔の多い「設備のグレード・オプションの選択」を駆け足で決めることになってしまいます。

そしてもうひとつが、物件を買う前の段階からご相談いただくことです。

TEAM-Rでは、中古マンション等の内見に代表・潮が同行できます。費用は無料です。 直床か二重床か、既存の床に上張りできるか、この壁は抜けるか——この記事の「後悔①・②」にあたる、工事では変えられない部分をその場で確認できます。

「まだ買うかどうか分からない段階なんですが」というご相談を歓迎しています。むしろ、その段階のほうがお役に立てることが多いと考えています。堺区・中区・北区・南区など堺市全域のほか、大阪市全域、松原市、和泉市、泉大津市、高石市、羽曳野市、大阪狭山市、富田林市、河内長野市に対応しています。

よくある質問(FAQ)

リノベーションで一番多い後悔は何ですか?

中古マンションのフルリノベーションでは、設備(キッチン・ユニットバス・洗面・トイレ)のグレードやオプションの選択がもっとも多い後悔です。毎日使うものであり、交換には工事がともなうためです。計画段階でしっかり相談することが最大の対策になります。

予算がオーバーしたら、どこを削るのが正解ですか?

壁紙・床材・照明のグレードを下げるのが基本です。これらは後から変えやすいためです。逆に水まわりの設備機器のグレードは下げないことをおすすめします。ただし、何を大切にしたいかによって答えは変わります。

壁紙や床の色を間違えたら、取り返しがつきませんか?

貼り替えは可能です。床材の張り替えは6畳あたりクッションフロアで約4.5万円、シートフローリングで約8万円が目安です(材工/既存床のめくり費用は別途)。後悔として深刻なのは、むしろ工事では変えられない物件の構造や、交換に工事がともなう設備のほうです。

店舗の設備を自分でネット購入して支給してもいいですか?

可能ですが、海外製の製品はおすすめしません。日本の既製品と規格が合わず、配管の収まりが悪くなって水漏れなどの不具合が出やすいためです。シンクなどは日本製を選んでいただくと不具合が出にくくなります。

買う前に相談してもいいですか?

ぜひご相談ください。株式会社TEAM-Rでは中古マンション等の内見に代表・潮亮輔が無料で同行できます。直床か二重床か、既存床に上張りできるか、壁が抜けるかなど、購入検討者では判断の難しい部分をその場で確認できます。

まとめ

リノベーションの後悔は、「やり直せないもの」に集中します。

  1. 物件そのものが持っている条件(築年数による遮音、結露、抜けない壁、PSの位置)
  2. 住んでみないと分からない体感(直床のフワフワ感、天井高)
  3. 交換に工事がともなう設備(キッチン・ユニットバス・洗面・トイレ)
  4. 時間が経ってから出てくる素材の差(床材の傷み方、色のクセ)

逆に言えば、壁紙・床材・照明は後から変えられるので、そこまで気負わなくて大丈夫です。予算を削るときも、この順番で判断すれば大きく外しません。

そして、①と②は物件を買う前にしか手が打てません。 だからこそ、契約前のご相談をおすすめしています。

株式会社TEAM-R(大阪府堺市のリフォーム・リノベーション会社)は、フローリング・巾木・造作を得意とし、住宅から店舗まで「唯一無二のこだわり空間」を手がけています。内見同行は無料です。「こんなことできるかな?」という段階のご相談も大歓迎ですので、お問い合わせからお気軽にお声がけください。

ショールーム(堺市内)は自社施工の店舗事例そのものです。TEAM-Rのアトリエ全公開もあわせてご覧ください。

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潮 亮輔(うしお りょうすけ)/株式会社TEAM-R 代表取締役

2011年に内装業界へ入り、フローリング職人として新築・リフォーム現場で約13年携わる。2018年に個人事業主として独立し、2023年7月に株式会社TEAM-Rを設立。内装工事を得意とし、店舗・マンション・戸建てのリノベーションを数多く手がける。「個性を大切に」を信条に、お客様との対話を何より大切にする職人肌の代表。